プリミティブアートってなあに? 2

プリミティブアートってなあに? 2

おそらく、この本を開かなければ一生出会う事がなかっただろう物が、そこにはいる。


例えば北アメリカのインディアン、ホピ族の作った愛らしい見た目の木の人形や、それとは反対にブードゥー教を信仰しているアフリカ、ペナン共和国のフォン族の禍々しい見た目の人形など、人形のようなものからマスクまで、世界中の多種多様な物達がこの中で待ち構えているのだ。


そして、彼らの横にはまるで彼らの心の叫びを写しだしたかのような散文が添えられており、それにより今までに感じたことのない衝撃を見るものを襲う。


これは本当に子供向けのものなのだろうか?子供だけではなく、大人をも引き込む世界。いや、大人の凝り固まった視点よりも、子供の柔軟で自由な発想の方がわかりやすいのかもしれない。

勿論、ただ人形や仮面などが載っているだけではなく、その背景も書かれているので、これは何のために作られたものなのかも理解する事が出来る。そして、それにより人々の強い思いに心が揺さぶられる。

確かに初めは崇拝や儀式的なものから生まれた物達かもしれない。そして彼らの中にはお世辞にも美しいだとか、完成されていると言えないものもある。しかし、その真っ直ぐな思いにより、彼らはただの偶像という垣根を飛び越え芸術品としての輝きを放っているのだ。


ただの物としか見れなかったものを違った視点で見る事が出来る、それがプリミティブアートの始まりかもしれない。


本書は日本ではまだ馴染みのないプリミティブアート初心者の大人にも大いに薦められる作品である事は間違いない。

アート作品としても、文化物としても非常に奥深いプリミティブアート。この本を眺めるだけで、大人であっても、子供であっても新しいインスピレーションや世界への関心をぐっと高めてくれる新感覚な一冊だといえよう。


2015/06/15 阿部しのぶ